四六判 上製 294頁
2013年 11月 15日 発行





底の見えぬ絶望の中で――。
スペインのフランコ体制、
ラテンアメリカの軍事独裁政権、
キューバのカストロ体制など、
スペイン語圏では繰り返し、
権威主義的政治体制が台頭している。
内戦とフランコ時代を
それぞれの仕方で受け止めたスペインの作家たち、
ホモセクシュアルとしてキューバのカストロ体制から
迫害を受けつづけたレイナルド・アレナス、
亡命中にアルゼンチン軍事政権によって
息子夫婦を殺害されたフアン・ヘルマン、
その他さまざまな作家たち。
この体制の専横に苦しんだ彼らは、
その経験をどのように表現し、
権力への抵抗につなげていったのか。
苦境のただ中で創作をつづける作家たちの
生き様と作品を丁寧に紹介する。
執筆者
寺尾隆吉(編者) Ryukichi Terao
大西 亮 Makoto Onishi
山辺 弦 Gen Yamabe
浜田和範 Kazunori Hamada
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序 章 ┃ 寺尾隆吉
抵抗と亡命のスペイン語作家たち


chapter 1 ┃ 寺尾隆吉
三大独裁者小説と
ガブリエル・ガルシア=マルケス
はじめに ―― ブーム以降のラテンアメリカ小説新展開
三大独裁者小説の登場
『族長の秋』への道 ―― ガルシア=マルケスと独裁者
小説家と独裁者
「声」をめぐる衝突
独裁者の「神話」を覆す
独裁制小説の新展開と今後の展望

chapter 2 ┃ 大西 亮
スペイン内戦と小説
はじめに
内戦前後の〈偏向小説〉と亡命作家たちの歩み
フランシスコ・アヤラと『仔羊の頭』
スペイン国内にとどまった作家たち
ポストフランコの小説

chapter 3 ┃ 山辺 弦
カストロ体制と
ラテンアメリカの作家たち
はじめに
大いなる失望 ―― パディージャ事件の衝撃
ホルヘ・エドワーズの証言 ――『ペルソナ・ノングラタ』
革命の擁護 ―― コルタサルとガルシア=マルケス
バルガス=リョサの「転向」
亡命者カブレラ=インファンテ
革命が映したもの


chapter 4 ┃ 大西 亮
政治と幻想の交差
―― フリオ・コルタサルと社会参加
はじめに
亡命者の視点
「全世界的な視野」にもとづく現実参加の姿勢
「ソレンティナーメ・アポカリプス」
「ふたつの切り抜き」―― めくるめく越境体験
〈悪魔祓い〉としての創作
〈読む〉ことによる現実参加
〈文学的真実〉を求めて

chapter 5 ┃ 山辺 弦
独裁 VS 性と笑い
―― レイナルド・アレナスの挑戦
はじめに ――『夜になるまえに』と「ペンタゴニア」
『夏の色』――「最期の」小説/最後のカーニヴァル
逸脱する「性」と「快楽」
権威を笑うテクスト
抑圧を越えて

chapter 6 ┃ 寺尾隆吉
痛みを価値あるものへ
―― フアン・ヘルマンの闘い
はじめに ―― 苦悩の日々
亡命と詩作
息子の遺体と孫の追跡
『価値ある痛み』―― 記憶と抵抗の詩集
文学と抵抗

chapter 7 ┃ 浜田和範
暴力に押し潰された声の遁走
―― オラシオ・カステジャーノス・モヤの小説
はじめに ―― 中米小説の隆盛
カステジャーノス・モヤ作品とエル・サルバドル社会
『崩壊』―― 政治化した社会における肉声の回復
『『荒ぶる記憶』―― 独裁者小説を超えて

あとがきにかえて
主要人名索引
寺尾隆吉(編者) Ryukichi Terao
1971年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専門はラテンアメリカ現代小説。著書として、『フィクションと証言の間で ―― 現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007年)、『魔術的リアリズム ―― 20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)など。訳書として、カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(現代企画室、2012年)、セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』(水声社、2013年)など。
大西 亮 Makoto Onishi
1969年生。神戸市外国語大学大学院外国語学研究科博士課程修了(文学博士)。法政大学国際文化学部准教授。専門はアルゼンチンを中心とするスペイン語圏の幻想文学。著書として、『国境を越えるヒューマニズム』(共著、法政大学出版局、2013年)。訳書として、アドルフォ・ビオイ・カサーレス『メモリアス』(現代企画室、2010年)、セルヒオ・ピトル『愛のパレード』(同、2011年)、アナ・マリア・マトゥーテ『北西の祭典』(同、2012年)など。
山辺 弦 Gen Yamabe
1980年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門はキューバを中心とする現代イスパノアメリカ文学。主要論文として、「El color del veranoに見る生成原理としての「分裂症的横断」」(日本ラテンアメリカ学会、『ラテンアメリカ研究年報』第27号、2007年)、「ビルヒリオ・ピニェーラおよびレイナルド・アレナスの小説作品に見る身体の政治学」(日本イスパニヤ学会、『Hispanica』第54号、2010年)など。訳書として、『世界文学とは何か?』(国書刊行会、2011年、共訳)など。
浜田和範 Kazunori Hamada
1980年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。専門はラプラタ地域を中心とする現代ラテンアメリカ小説。論文として、「『漠としたもの』の詩学 ―― フェリスベルト・エルナンデスにおける記憶と幻想」(『ラテンアメリカ研究年報』第30号、2010年)など。
本文デザイン・組版・カバーデザイン
洛北出版編集


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