原口 剛 著
『叫びの都市
――寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者』

 
 
 
発行元 洛北出版
四六判 並製 410頁
ISBN 978-4-903127-25-5 C0036
定価(本体価格 2,400円+税)
オビ付斜めになって宙を浮遊
オビ無斜めになって宙を浮遊
オビ無背中合わせ
夜の底、うねり流れる

夜の底、うねり流れる群れ ―――

「流動的下層労働者」たちは、かつて、職や生存を求め、群れとなった。かれらは、都市空間の深みを潜り抜けたのだ。

陸と海を、山谷‐寿町‐笹島‐釜ヶ崎を行き交う、身体の群れ。

その流動は、いかなる空間を生み出していったのか。

すでに私たちは「社会の総寄せ場化」、「釜ヶ崎的状況」を生きている。「寄せ場」の記憶は、今を生き残る術〔すべ〕を手繰りよせるための、切実な手がかりなのだ。

地表を横断する群れとなれ、君みずからの「寄せ場」をつくれ ―― 過去からの声は、そう私たちに耳打ちしている。

目次

はじめに

序 章

● アスファルトを引き剥がす

  • 釜ヶ崎という場所
  • 過程としての空間
  • 本書の問い ―― 線を追跡する

第1章

● 戦後寄せ場の原点 ―― 大阪港と釜ヶ崎

  • 一九五〇‐六〇年代の港湾労働の地理
  • 港湾における労働者階級の状態
  • 国策と資本の矛盾
  • 封じ込められた例外

第2章

● 空間の生産

  • 一九六〇年・釜ヶ崎の社会空間
  • 場所の構築 ―― 焦点とフレーム
  • 空間改造
  • 植民地的空間の犠牲者たち

第3章

● 陸の暴動、海のストライキ

  • 対抗の地勢
  • 陸から海への線
  • 海から陸への線
  • 失われた地勢
  • 記憶のリストラクチャリング
  • 孤島から群島へ ―― 流動的下層労働者の像

第4章

● 寄せ場の生成 (1) ―― 拠点性をめぐって

  • 暴動とは何であったのか
  • 暴動の活用 (1) ―― 全港湾西成分会の議会内闘争
  • 階級の形成 ―― 流動的下層労働者
  • 暴動の活用 (2) ―― 釜共闘の直接行動
  • 拠点としての寄せ場

第5章

● 寄せ場の生成 (2) ―― 流動性をめぐって

  • 寄せ場の労働者になる ――I氏の流動
  • 寄せ場とはどこか
  • 複数の寄せ場
  • 飛び火する運動 ―― 「山谷‐釜ヶ崎」
  • あらたに飛び火する運動 ―― 寿町
  • さらに飛び火する運動 ―― 笹島
  • 寄せ場とはなにか ―― 流動と過剰

終 章

● 地下の都市、地表の都市

  • 社会の総寄せ場化
  • 寄り場なき都市空間
  • 私営化とジェントリフィケーション
  • 寄り場のゆくえ
あとがき/文献一覧/索 引
夜の自販機&コピー文章
本書の中身

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著者紹介

原口 剛 Haraguchi Takeshi

1976年、千葉県に生まれ、鹿児島県で育つ。東京大学文学部にて倫理学を学んだのち、2000年より大阪市立大学文学研究科にて地理学を学ぶ。2007年、大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)や大阪市立大学都市研究プラザ研究員などを経て、2012年より神戸大学大学院人文学研究科准教授。専門は都市社会地理学および都市論。
共編著に、『釜ヶ崎のススメ』(洛北出版 2011)など。
訳書に、ニール・スミス『ジェントリフィケーションと報復都市 新たなる都市のフロンティア』(ミネルヴァ書房 2014)。
共著に、Marxism and Urban Culture(Lexington Books 2014)、『労働再審4 周縁労働力の移動と再編』(大月書店 2011)、『ホームレス・スタディーズ 排除と包摂のリアリティ』(ミネルヴァ書房 2010)、『地域調査ことはじめ あるく・みる・かく』(ナカニシヤ出版 2007)、『都市空間の地理学』(ミネルヴァ書房 2006)など。

装幀

本文デザイン・組版・カバーデザイン

洛北出版編集


制作過程の一部は、「洛北出版ブログ」を参照。

書評


● 本書は「紀伊國屋じんぶん大賞2017」に選ばれました。
詳しくは「紀伊國屋じんぶん大賞2017」をご覧ください。

● ジュンク堂書店 難波店、「店長本気のおススメ!」として選んでいただきました。
詳しくは「小社ブログ記事」をご覧ください。

● ジュンク堂書店 難波店にて、「ラディカル地理学」のフェアをひらきました。また、原口剛氏と北川眞也氏(小社刊行の『ノー・フューチャー』の訳者のひとり)が選書を担当し、書店の方々に多大なご尽力をいただいて、「ラディカル地理学」という棚をつくりました。
詳しくは「小社ブログ記事」を参照ください。

● 「朝日新聞」(2016年10月30日、日曜、朝刊、読書面)にて、杉田敦(政治学者)氏による書評。
詳しくは、「朝日新聞・読書面」に、全文が公開されています。

● 「東京新聞」(2016年11月13日、日曜、朝刊、読書面)にて、平井玄(批評家)氏による書評。
詳しくは、「東京新聞・読書面」に、全文が公開されています。

● 「南日本新聞」(2016年10月30日、朝刊)にて、紹介記事掲載。

● 「京都新聞」(2016年10月2日、朝刊、読書面)にて、紹介記事掲載。

● 週刊「図書新聞」(2017年2月4日号)にて、栗原康(政治学者)氏による書評。詳しくは「図書新聞」に、全文が公開されています。

● 『市政研究』(2017年 春季号、第195号)にて、西部均(歴史文化地理学)氏による書評が掲載されました。

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