――寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者』
四六判 並製 410頁




夜の底、うねり流れる群れ ―――
「流動的下層労働者」たちは、かつて、職や生存を求め、群れとなった。かれらは、都市空間の深みを潜り抜けたのだ。
陸と海を、山谷‐寿町‐笹島‐釜ヶ崎を行き交う、身体の群れ。
その流動は、いかなる空間を生み出していったのか。
すでに私たちは「社会の総寄せ場化」、「釜ヶ崎的状況」を生きている。「寄せ場」の記憶は、今を生き残る術〔すべ〕を手繰りよせるための、切実な手がかりなのだ。
地表を横断する群れとなれ、君みずからの「寄せ場」をつくれ ――
過去からの声は、そう私たちに耳打ちしている。


はじめに
序 章
● アスファルトを引き剥がす
- 釜ヶ崎という場所
- 過程としての空間
- 本書の問い ―― 線を追跡する
第1章
● 戦後寄せ場の原点 ―― 大阪港と釜ヶ崎
- 一九五〇‐六〇年代の港湾労働の地理
- 港湾における労働者階級の状態
- 国策と資本の矛盾
- 封じ込められた例外
第2章
● 空間の生産
- 一九六〇年・釜ヶ崎の社会空間
- 場所の構築 ―― 焦点とフレーム
- 空間改造
- 植民地的空間の犠牲者たち
第3章
● 陸の暴動、海のストライキ
- 対抗の地勢
- 陸から海への線
- 海から陸への線
- 失われた地勢
- 記憶のリストラクチャリング
- 孤島から群島へ ―― 流動的下層労働者の像
第4章
● 寄せ場の生成 (1) ―― 拠点性をめぐって
- 暴動とは何であったのか
- 暴動の活用 (1) ―― 全港湾西成分会の議会内闘争
- 階級の形成 ―― 流動的下層労働者
- 暴動の活用 (2) ―― 釜共闘の直接行動
- 拠点としての寄せ場
第5章
● 寄せ場の生成 (2) ―― 流動性をめぐって
- 寄せ場の労働者になる ――I氏の流動
- 寄せ場とはどこか
- 複数の寄せ場
- 飛び火する運動 ―― 「山谷‐釜ヶ崎」
- あらたに飛び火する運動 ―― 寿町
- さらに飛び火する運動 ―― 笹島
- 寄せ場とはなにか ―― 流動と過剰
終 章
● 地下の都市、地表の都市
- 社会の総寄せ場化
- 寄り場なき都市空間
- 私営化とジェントリフィケーション
- 寄り場のゆくえ


原口 剛 Haraguchi Takeshi
1976年、千葉県に生まれ、鹿児島県で育つ。東京大学文学部にて倫理学を学んだのち、2000年より大阪市立大学文学研究科にて地理学を学ぶ。2007年、大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)や大阪市立大学都市研究プラザ研究員などを経て、2012年より神戸大学大学院人文学研究科准教授。専門は都市社会地理学および都市論。
共編著に、『釜ヶ崎のススメ』(洛北出版 2011)など。
訳書に、ニール・スミス『ジェントリフィケーションと報復都市 新たなる都市のフロンティア』(ミネルヴァ書房
2014)。
共著に、Marxism and Urban Culture(Lexington Books
2014)、『労働再審4 周縁労働力の移動と再編』(大月書店
2011)、『ホームレス・スタディーズ 排除と包摂のリアリティ』(ミネルヴァ書房
2010)、『地域調査ことはじめ あるく・みる・かく』(ナカニシヤ出版
2007)、『都市空間の地理学』(ミネルヴァ書房 2006)など。
本文デザイン・組版・カバーデザイン
洛北出版編集
制作過程の一部は、「洛北出版ブログ」を参照。
● 本書は「紀伊國屋じんぶん大賞2017」に選ばれました。
詳しくは「紀伊國屋じんぶん大賞2017」をご覧ください。
● ジュンク堂書店
難波店、「店長本気のおススメ!」として選んでいただきました。
詳しくは「小社ブログ記事」をご覧ください。
● ジュンク堂書店
難波店にて、「ラディカル地理学」のフェアをひらきました。また、原口剛氏と北川眞也氏(小社刊行の『ノー・フューチャー』の訳者のひとり)が選書を担当し、書店の方々に多大なご尽力をいただいて、「ラディカル地理学」という棚をつくりました。
詳しくは「小社ブログ記事」を参照ください。
●
「朝日新聞」(2016年10月30日、日曜、朝刊、読書面)にて、杉田敦(政治学者)氏による書評。
詳しくは、「朝日新聞・読書面」に、全文が公開されています。
●
「東京新聞」(2016年11月13日、日曜、朝刊、読書面)にて、平井玄(批評家)氏による書評。
詳しくは、「東京新聞・読書面」に、全文が公開されています。
● 「南日本新聞」(2016年10月30日、朝刊)にて、紹介記事掲載。
●
「京都新聞」(2016年10月2日、朝刊、読書面)にて、紹介記事掲載。
●
週刊「図書新聞」(2017年2月4日号)にて、栗原康(政治学者)氏による書評。詳しくは「図書新聞」に、全文が公開されています。
● 『市政研究』(2017年
春季号、第195号)にて、西部均(歴史文化地理学)氏による書評が掲載されました。
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