―― 動物の解放と障害者の解放 』
四六判 並製 444頁
2020年9月刊行

動物の解放と障害者の解放の、深くて大切な結びつき
アメリカン・ブック・アワード(2018年度)受賞作品!
スナウラ・テイラーは、一人の障害当事者として、障害者運動と動物の権利運動の担い手として、そして一人の芸術家として、読者に問いかける。もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理とがつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか、と。
彼女は考えつづける。デモに参加しながら、絵を描きながら、対話しながら、食べながら。いったい何が、動物たちから人間を、障害者ではない人たちから障害者を、区別しているのだろうか、と。
彼女は考えつづける。身体的・精神的な能力の有無や高低(世界の中でどのように動いたり、動けなかったりするか)を基準にして、私たちは、自分を「人間」として意識し、他なる者を「動物」として値踏みしてしまっているのではないか、と。「人間」としての自分という自負を保つために、私たちは、「動物」との違いを際立たせることに、どれほど血道をあげているのだろうか、と。
この『荷を引く獣たち』には、「障害」と「動物」という、これまで対立すると見なされてきた問題が、実際には深く結びついているということが、テイラー自身の体験にもとづいて、丁寧に書かれている。
そのうえで彼女は、もっと風通しのよい、ゆたかな経験と共感にくつろぐ未来を、読者に語りかける。目前の世界の姿を、荷車や車椅子の輪のように、ぐるりと回転させ、しなやかに変えてみせるのである。おおらかに、エレガントに。
壊れやすく、依存的なわたしたち動物は、ぎこちなく、不完全に、互いに互いの世話をみる。本書は、そのような未来への招待状である。


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目 次
プロローグ 鶏〔にわとり〕が積まれたトラック
Ⅰ いくつかの閃き〔ひらめき〕
2 障害とは何か?
3 動物の不具〔かたわ〕たち
Ⅱ 動物倫理を不具〔かたわ〕にする
5 健常者中心主義と動物
6 動物とは何か?
7 憶えていたチンパンジー
Ⅲ わたしは動物だ
9 動物侮辱〔ぶじょく〕
10 動物を主張する
Ⅳ すべて自然だ
12 あらゆる動物は平等だ(だがもっと平等な動物もいる)
13 新たな団欒〔だんらん〕に向けて
14 肉の浪漫〔ロマン〕化
15 肉という天災
Ⅳ すべて自然だ
12 あらゆる動物は平等だ(だがもっと平等な動物もいる)
13 新たな団欒〔だんらん〕に向けて
14 肉の浪漫〔ロマン〕化
15 肉という天災
Ⅴ 相互依存
17 種〔しゅ〕と能力を超えるケア
18 サービス・ドッグ
謝辞/ 註/ 訳者あとがき/ 索引
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● レベッカ・ソルニット(『説教したがる男たち』、『災害ユートピア』などの著者)
「スナウラ・テイラーは、あなたが生きる世界をぐるりと裏返し、身に染みた常識を揺さぶり、そして、残酷な体制下での、あなた自身の身体について、また人間や非人間の他なる身体について、あなたがまだ知らないたくさんの魅力的で大切なことを教えてくれます。人間のありようにかんする、読みやすくて驚くべき、ときに愉快な、まったく新たな方向からの探求として、この本は、とても、とても重要です。」●「The New Yorker」誌の記事より
「ジュディス・バトラーは、アッシジの聖フランチェスコに出会う。」● アリソン・カファー(『Feminist, Queer, Crip』の著者)
「私は、この本を読む前の私とは、同じ動物ではありません。」● キャロル・J・アダムズ(『肉食という性の政治学――フェミニズム - ベジタリアニズム批評』の著者)
「スナウラ・テイラーは、素晴らしい本を書き上げました。この本は、障害と動物をめぐる常識への処方箋、そして、私たちが自分自身をあらためてイメージしてみることへの招待状、この両方の役割を見事に果たしています。掛け値なしに独創的で華麗な彼女の語り口は、私の想像力を一変させました。」● マイケル・ベルベ(『Life as We Know It』、『The Secret Life of Stories』の著者)
「ついに、やっと、ピーター・シンガーがやらかしたダメージを修復しようとする者が現われた。『荷を引く獣たち』は、果敢で鮮烈な作品です。」● クレア・ジーン・キム(『Dangerous Crossings』の著者)
「深甚で、しかも驚異的な書物です。正常なものとは何か? 自然なものとは何か? 生命の価値をどのように天秤にかけるのか? そして差異と多様性に輝く人間と動物たちが共に繁栄する世界をいかに想像するか? スナウラ・テイラーは、これらの問いを再考するよう、私たちに呼びかけているのです。」● マーク・ベコフ(『動物の命は人間より軽いのか』、『動物たちの心の科学』などの著者)
「この『荷を引く獣たち』は、ゲーム・チェンジャーだ。」● ローリー・グルーエン(『動物倫理入門』の著者)
「ときに痛烈、ときに愉快、ときに身のうえ話、ときに鋭く情熱的、そんな文章のかずかずが、力強くブレンドされています。」
スナウラ・テイラー Sunaura Taylor
1982年生。画家であり作家、そして障害者運動と動物の権利運動の担い手。アメリカ合衆国のアリゾナ州ツーソンに生まれ、ジョージア州アセンスで、アンスクーリング〔学校に通わず子ども主導で学習する教育〕によって学びながら育つ。カリフォルニア大学バークレー校で、美術修士号を取得する。共著として、Ecofeminism:
Feminist intersections with other animals and the earth
(2014)〔エコフェミニズム――他の動物たちや地球とのフェミニスト的な交差〕、Occupy!
: Scenes from Occupied America
(2011)〔オキュパイ!――占領下アメリカからの情景〕などがあり、また様々な雑誌やウェブ媒体にも寄稿している。姉のアストラ・テイラーが監督したドキュメンタリー
Examined Life
(2008)〔吟味された生〕では、哲学者のジュディス・バトラーと対話し、同題の書物にも収められた。本書『荷を引く獣たち』は、2018年度のアメリカン・ブック・アワードを受賞した。
訳者 今津有梨 Yuri Imazu
一橋大学大学院言語社会研究科修士課程を、森崎和江の「非所有の所有――性と階級覚え書」についての研究によって修了する。その後、「動物」というテーマと出会うなかで、現在は、韓国の延世大学文化人類学科修士課程に在籍中。翻訳書として、高秉權(コ・ビョンゴン)『哲学者と下女――日々を生きていくマイノリティの哲学』(インパクト出版会、2017年)がある。

本文デザイン・組版・カバーデザイン
いずれも洛北出版編集による。
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