『食人の形而上学』、本文の正誤表(お詫び申しあげます)2023年7月
2015年発行の小社出版物、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ著『食人の形而上学──ポスト構造主義的人類学への道』につきまして、本文の訂正がございます。
ほんとうに、申しわけございません。
読者の皆さまに深くお詫び申しあげ、ここに訂正いたします。
こんかいの訂正は、2023年7月14日よりも以前に発行された版が該当いたします。
訂正箇所につきましては、スマホでもパソコンでもご覧いただけるよう、以下にWEBテキストで掲載させていただきました。
また、その表(画像データ)も掲載いたしております。
お手数ですが、どちらかをご利用くださいませ。
こんかいの「2023年7月14日」に発行した重版ぶんにかんしましては、下記の修正をすでに反映いたしております。
(2023年7月14日 記)
◎ 13頁 10行め
【誤】人類学が研究対象とする民族にとって、概念的に人類学といえるものは何であるべきか?
【正】→ 人類学は、研究対象である諸民族に概念的に何を負っているのか?
◎ 14頁 4行め
【誤】植民地主義は、人類学を歴史的なアプリオリの一つとして構築してきたのだが、人類学が今日ではその因果応報のサイクルを閉じようとしていることにわれわれが多かれ少なかれ賛成するのであれば、このプロセスを最後までおし進めることで、いまこそこの学問分野を再構築するプロセスを先鋭化させるときなのだということをうけいれなければならない。
【正】→ 人類学の歴史的アプリオリが植民地主義なのだとしても、人類学が今日その因果応報のサイクルを閉じようとしていることにわれわれが多かれ少なかれ賛成するのであれば、この学問の再構成のプロセスを最後までおし進めることでそれを先鋭化させる時期に来ていることを受け入れなければならない。
◎ 14頁 13行め
【誤】人類学の知的プロジェクトがそこからうみだされてきた社会
【正】→ 人類学の知的プロジェクトがうみだされてきた社会
◎ 15頁 2行め
【誤】主体的幻影とでもいったものを二重化して、植民地主義的なシステムによってうみだされる他者という客体的な生産物の弁証法に訴えることは、……
【正】→ このような主観的幻影を、植民地主義的なシステムによってうみだされる他者の客観的生産物に訴えて二重化することは、……
◎ 16頁 4行め
【誤】しかし実際には、『時間と他者』(Fabian, 1983)や、その他多くの類似した議論に傾倒したところで、われわれが認知的な絶望という停滞に新たに直面しているのは、物自体に近づくことができないせいなのか、それとも他者が普遍的な理性を体現して迷信をまき散らしにくるといった古臭い神秘主義的魔術のせいなのか、わかるはずもない。それは、先住民についてだけではなく、もちろん以前の著者たちについてもあてはまる。先住民をエキゾティックな対象としてみないことによって――彼らはそれほど遠い存在ではない――、それほど以前からというわけではないにせよ、人類学の過剰な異国趣味が逆につくりだされているのだ。
【正】→ しかし実際には、『時間と他者』(Fabian, 1983)や、その他多くの後続する議論に傾倒したところで、われわれが認知的な絶望という停滞に新たに直面しているのは、物自体に近づくことができないせいなのか、古臭い神秘主義的魔術のせいなのか、わかるはずもない。この著者は、闇を払拭するためにやってきた普遍的な理性を体現しているのだというが、それはもはや先住民のものではなく、もちろん彼に先立つ著者たちのものなのである。もはやそれほど遠い存在ではない先住民を脱植民地化することは、そう遠くない昔に人類学者が抱いていた強い異国趣味を反‐生産するのである。プルーストは、時間と他者についていくつかのことを熟知しており、直前に過ぎ去った過去ほど古く感じられるものはないのだといっている。
◎ 17頁 6行め
【誤】そして、執拗におし進められてきた、理性を外在化するプロジェクト
【正】→ そして、執拗におし進められてきた、理性を外に向けるプロジェクト
◎ 25頁 6行め
【誤】不作為もしくは作為による誤りを避けることが不可能である以上、より最近では、ここに名前をだしていない他の多くの研究者をつけくわえなければならないだろう。
【正】→ 名前をあげると不公平になるので省略も公表もしないが、最近では、ここに多くの研究者をつけくわえることができる。
◎ 30頁 10行め
【誤】ドゥルーズがアメリカ先住民の世界における「他者の構造」と……
【正】→ ドゥルーズがアメリカ先住民の世界の「他者の構造」と……
◎ 33頁 12行め
【誤】(西洋の)同にとっての他は、(先住民の)他にとって……
【正】→ 同(西洋人)にとっての他は、他(先住民)にとって……
◎ 47頁 7行め
【誤】それゆえ、すべての存在者が、必然的に事実上の人格をもつというわけではないならば、根本的なポイントは、あらゆる動物種や存在のモードがそうであるということを(権利上)妨げるものは何もないということにある。
【正】→ というのも、すべての存在者が必ずしも事実上の人格であるとは限らないが、基本的なポイントは、いかなる種や存在様態であれ人格であることを(権利上)妨げるものは何もないということにある。
◎ 49頁 10行め
【誤】人格の条件(人間の形式とは普遍的な統覚の形式のことである)は、おそらくわれわれの種とは他の集団を「拒絶する」まさにそのときに、ほかの種に「拡張される」。この事実からすぐにわかることは、人格という概念――内在的な潜勢力の差異によって構成された志向性の中心――が、人間という概念に先行し、論理的にその上位にあるということだ。
【正】→ 人格の条件(その普遍的な統覚の形式とは人間の形式のことである)がほかの種に「拡張」され、またわれわれの種の他の集団に「拒絶」されうるという事実からすぐにわかることは、人格の概念――内在的な潜勢力の際によって構成された志向性の中心――が、人間という概念に先行し、論理的にその上位にあるということだ。
◎ 62頁 12行め
【誤】記述された神話の言説によって辿られた一般的な線とは、かくして、識別不可能的な前プロセス的流れが、宇宙論的なプロセスのなかにはいっていくときの瞬間的な薄片なのである。これ以降は、ジャガーの(人間の)猫科的かつ人間的な次元は、……
【正】→ 神話の言説が描く一般的な線とは、かくして、宇宙論的なプロセスにはいっていくときに、宇宙論以前の識別不可能な流れが、瞬間的に積層されることを表している。これ以降は、ジャガーにおける猫科と人間の次元(そして、人間における人間と猫科の次元)は、……
◎ 64頁 5行め
【誤】「あらかじめすでに」それが「ついでなるところのもの」でもあり、……
【正】→ 「あとでそうなる」ものが「あらかじめそうであった」のであり、……
◎ 64頁 7行め
【誤】(広義の)特種化
【正】→ (広義の)種分化
◎ 64頁 10行め
【誤】外在的なあいだによって分離され、量化され測定可能になる。
【正】→ 外在的で量的で測定可能な区間で区切られている。
◎ 64頁 11行め
【誤】相関性の、割合の、性格の交代の、同じ領域の、同じ性質の、有限のシステムであるからだ。
【正】→ 同じ秩序と性質をもった特徴の相関、比例、順列の有限のシステムであるからだ。
◎ 64頁 17行め
【誤】明白な非連続性
【正】→ 見かけの非連続性
◎ 66頁 3行め
【誤】この「環境」の目的
【正】→ この「環境」の終わり
◎ 66頁 5行め
【誤】だが、ほかの学者たちが示唆するのとは逆に、つぎのようにのべなければならない理由がある。つまり、こうした移行の中心性は、まったく逆に、その深いアンビバレンスを――その先住民の思考に対する(さまざまな意味における)二重の意味を排除するものではなく、それは『神話論理』を読み進めていくうちに次第次第に明白になってくるのだと。
【正】→ 理由がないわけではないとはいえ、ほかの学者たちが示唆するのとは逆に、つぎのようにのべなければならない。つまり、『神話論理』を読み進めていくうちに次第次第に明らかになってくるのだが、この移行の中心性は、まったく逆に、その深いアンビバレンス、つまり先住民の思考にとって(さまざまな意味での)二重の意味を排除するものではないことを指摘しておきたい。
◎ 71頁 8行め
【誤】――というもの
【正】→ ――というのも
◎ 117頁 5行め
【誤】帝国の惑星機械を強調する。そして、その奥底において、資本の神秘的な結合……
【正】→ 帝国の惑星機械を強化する。そして、資本と地球との神秘的な結合……
◎ 121頁 11行め
【誤】このことは同時に、アングロサクソンの教条的な論理主義の加盟代理人によって誘惑されっぱなしであることと変わらない。いわばそれは、この一〇年間の……
【正】→ そのためフランスの人類学は、アングロサクソンの教条的な論理主義の加盟代理人によって誘惑されても仕方がないと思っていたのである。いわばそれは、この数十年間の……
◎ 127頁 5行め
【誤】最近一〇年
【正】→ ここ数十年
◎ 127頁 6行め
【誤】そうした結びつきは、いまだ彼らのあいだではなされていない。
【正】→ もっとも、そうした結びつきは、いまだ彼らのあいだではみられない。
◎ 127頁 9行め
【誤】それは、現実的でないということではないし、意外ではないということでもない。
【正】→ それは、現実のものではないし、驚くべきものでもない。
◎ 268頁 15行め
【誤】それが対象としてとらえるものの集合性
【正】→ それが対象とする集合体
◎ 276頁 6行め
【誤】他者が概念的人物と呼ぶものであり、概念に固有な他者の図式である。
【正】→ この著者たちが概念的人物と呼ぶものであり、概念にふさわしい他者(太文字)の図式化である。
◎ 286頁 2行め
【誤】『密から灰へ』
【正】→ 『蜜から灰へ』
◎ 294頁 8行め
【誤】もっと先に進んでいく必然性[社会が存在する必然性]などまったくなかったのである。つまり、モーゼと大地が約束したのだから…
【正】→ モーゼと約束の大地といったように、これ以上先に進む必要はないだろう。
◎ 294頁 10行め
【誤】自然/文化という対立は、先住民の思考に内在する神話の主題となるための、(客体的であれ主体的であれ)普遍的な人類学の条件でもなくなっていく。こうしたテーマは、それを考えることは両義的なことであるが、一連の神話論理の展開のなかで次第に増大するものでもある。
【正】→ 自然/文化という対立は、普遍的な人類学の条件(客観的であれ主観的であれ)ではなく、先住民の思考に内在する神話の主題となる、さらにその思考における両義性は、[『神話論理』の]シリーズの各巻で高まるばかりである。
◎ 302頁 4行め
【誤】かくしてレヴィ=ストロースは[中略]ことをみた。
【正】→ かくして、レヴィ=ストロースは[中略]ことがわかる。
◎ 10頁 などなど(固有名の表記の修正)
【誤】ブルーノ・ラトゥール
【正】→ ブリュノ・ラトゥール
以上、2023年7月14日 記