『いまなぜ精神分析なのか ―― 抑うつ社会のなかで』
エリザベート・ルディネスコ [著]
信友建志・笹田恭史 [訳]
- 発 行 洛北出版
- 四六判 上製 272頁
- 2008年4月中旬発売
- ISBN 9784903127064
- 定価(本体価格 2,400円+税)
精神分析なんか、いらない?
こころをモノとしてあつかう抑うつ社会のなかで、精神分析はいま、手ひどく非難されています。こころの苦しみは脳に原因があるのだから、薬のほうがずっと効果的だ、だからはやく治療法をあらためるべきだと……。いったいなぜこういうことになったのでしょうか?
本書は、精神分析100年の歴史をふりかえりながら、この疑問に真正面から答えます。そして、現代社会の悲惨さにたいして、いま精神分析になにができるのか、その歴史的使命の確認と、あらたな臨床の創造をうったえます。
日本の将来を考えていくうえで、いくつものヒントがある案内書です。平易なことばで、これからのこころの治療のありかたを、読者に語りかけます。
目 次
まえがき
第1部
抑うつ社会
1 主体の敗北
2 魂の治療薬
3 ココロはモノではない
4 行動主義的人間
第2部
無意識をめぐる大論争
1 フランケンシュタインの脳
2 「秋分の日の手紙」
3 アメリカにおけるフロイトの死
4 フランスの科学主義
第3部
精神分析の未来
1 科学と精神分析
2 悲劇的人間
3 普遍、差異、排除
4 精神分析制度批判
訳者解説
索 引(人名・事項)
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著者紹介
エリザベート・ルディネスコ Elisabeth Roudinesco
1944年、パリに生まれる。ソルボンヌで現代文学を学ぶとともに、精神分析家としての訓練も開始。現在はパリ第7大学歴史学研究指導講師をつとめる。また、「国際精神医学史・精神分析史学会」会長の要職にある一方、「ル・モンド」紙をはじめとするジャーナリズムへの寄稿も盛んに行なっている。そのエネルギッシュな語り口とともに、フランスでは、こんにち、もっとも著名な精神分析家のひとりである。
邦訳書として、『ジャック・ラカン伝』(藤野邦夫訳、河出書房新社、2001年)、フランスの哲学者ジャック・デリダとの共著『来たるべき世界のために』(藤本一勇、金澤忠信訳、岩波書店、2003年)がある。
訳者紹介
信友建志(のぶとも・けんじ)Kenji NOBUTOMO
1973年生。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。思想史・精神分析専攻。現在、龍谷大学非常勤講師。
主な著書として、『メディアと無意識――「夢語りの場」の探求』(共著、弘文堂、2007年)、『フロイト=ラカン』(共著、講談社選書メチエ、2005年)など。主な訳書として、イグナシオ・ラモネ他『グローバリゼーション・新自由主義批判事典』(共訳、作品社、2006年)、ローラン・ディスポ『テロル機械』(共訳、現代思潮新社、2002年)など。
笹田恭史(ささだ・たかふみ)Takafumi SASADA
1969年生。主な訳書として、ジル・ドゥルーズ『無人島1969‐1974』(共訳、河出書房新社、2003年)、同著『狂人の二つの体制1975‐1982』(共訳、河出書房新社、2004年)、同著『狂人の二つの体制1983‐1995』(共訳、河出書房新社、2004年)、アルフォンソ・リンギス『異邦の身体』(共訳、河出書房新社、2005年)など。
書 評
◆ 「朝日新聞」2008年6月8日・日曜日・朝刊 香山リカ氏(精神科医)による書評掲載
◆ 「週刊 読書人」2008年5月23日号 十川幸司氏(精神科医)による書評掲載
◆ 月刊「STUDIO VOICE」2008年7月号 紹介記事
本書の装幀・組み版
洛北出版 編集部による。
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