『シネキャピタル』
廣瀬 純
- 発 行 洛北出版
- 仕 様 四六判・上製・192頁
- 2009年4月24日発行
- ISBN 9784903127101 C0010
- 定 価(本体価格 1,800円+税)
シネキャピタル――普通のイメージ=労働者たちの
不払い労働にもとづく、新手のカネ儲けの体制!
搾取されてるっていうのに、
ぼくや彼女ら「普通の鳥」は、働くことに
やりがいや喜びさえ感じている。
それどころか、
観客=投機家として無数の企業のために、
いっそうタダ働きをしてしまっている。
どんなやり方でシネキャピタルは、
この剰余価値生産に
ぼくたちを組み込んでいるの?
こんな暮らしから身を引き、
「労働からの解放」、
「解放された労働」を
獲得するなんてできるの?
* * *
ぼくたちはいつのまにか
「ヒッチコックの鳥」になっちまってる!
このインチキにこそ
映画の、ヤツらの、
取り分があるんだ。
オビの推薦文
最先端の思想もイメージも
大胆に読みこめる廣瀬純は、
書き手としても稀有の才能に
恵まれている!!
―――― 蓮實重彦
本書の目次
1 イメージたちはなぜ労働を拒否するのか。
「動物を分類するのと同じような手つきで……」
「万国の鳥たちよ、団結せよ。失うものは羽しかない!」
「搾取されて喜んでいるこのオレはいったい何なんだ!」
「私は自分の行動を見ていた、それは不可避だった。」
「カネ、カネ、カネ。いつも陽光に輝いている、富裕者の世界では。」
映画は死なない、歴史は終焉しない。
「カモメはカモメ、クジャクやハトにはなれない……」
「すべては『お早よう』のように平凡なこと……」
2 マキノ雅弘から金融危機へ
あるいは、2008年10月に『運動イメージ』を読むということ
一人二役のギャラは一人一役のそれと同額である。
シネキャピタルは「めまい」においてその極限を見出す。
映画はヒッチコックとともに「資本のコミュニズム」に達する。
運動イメージの金融化は革命の「外的な必要条件」をなす。
補 遺――
『時間イメージ』は言うまでもなく革命書である。
3「あとがき」にかえて
映画と働かぬ権利(闇のなかの音楽)
生きる権利のあるはずの生を生きること
ARBEIT MACHT FREI または SLOW MOTION
闇のなかの音楽、私たちの音楽
まぶたなき瞳、あるいは LES YEUX VERTS
シネキャピタル、「振り上げられた拳」の暴力
* * *
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解 説
安井 豊(映画批評家)
敵はどこにいるのか?
しゃべるように書くにはどうすればいいのか?
労働者の音楽
廣瀬純とは誰か?
あるものはある
著者略歴
廣瀬 純 Hirose Jun
1971年生 龍谷大学経営学部教員
映画批評誌『VERTIGO』編集委員
著書として――
『美味しい料理の哲学』(2005年 河出書房新社)
『闘争の最小回路――南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(2006年 人文書院)
『闘争のアサンブレア』(2009年コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著 月曜社)
訳書として――
パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(2004年 月曜社)
トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』(2007年 共訳 月曜社)
同『未来派左翼』(2008年 NHK出版)など
本書カバーの装画
畠中 崇
本書の装幀・組み版
洛北出版 編集部による。
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