『NO FUTURE ノー・フューチャー ―― イタリア・アウトノミア運動史』
フランコ・ベラルディ(ビフォ)著
廣瀬 純 + 北川眞也 訳/解説
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- 発 行 洛北出版
- 四六判・並製・427頁
- 2010年12月刊行
- ISBN 9784903127125 C0010
- 定 価(本体価格2,800円+税)
「アウトノミア運動」とは
何だった/何であるのか?
1977年――すべての転回が起こった年!
イタリアでは、労働を人生のすべてとは考えない若者たちによる、激しい異議申し立て運動が爆発した。
77年の数々の反乱が今日の私たちに宛てて発信していた、革新的・破壊的なメッセージを、メディア・アクティヴィストであるビフォが描きだす。
1977年こそが、新しい時代への移行の年である。
77年は、イタリアにおいて、自律的・創造的な運動(アウトノミア運動)の力が、社会のただなかで試された年であった。
と同時に、労働過程の不安定化、社会関係の喪失、うつ病の浸透が日常となる暗い未来の姿を、目撃しはじめた年でもあった。
「ポストモダニティ」や「弱い思想」といった概念は、この年月に姿を見せる。
幸福と絶望――本書では両方に視座をおくことで、77年運動の問題系を検討する。その幸福と絶望とは、私たちがいま生きているこの現実の「予兆」だったのだから。
目 次
未来がはじまった年 序文 1(日本語版への序文)
1997年からみた1977年 序文 2(新版への序文)
1987年からみた1977年 序文 3(1987年版の序文)
二つの派
文化の伝達
残余となった具体的なもの
「革命は終わり、ぼくたちは勝利した」
付録 Ⅰ 天下大乱
Ⅱ 叙情詩人から叙事詩人へ(悲劇詩人をよけながら)
技術の問いについて
人類学的カテゴリーとしての労働
創造的運動と生産的労働
付録 Ⅰ アリーチェ――偽善か共感か
弱い思想と精神の生態学
無垢の思想のために
世界じゅうの ひきこもりたちよ、団結せよ(日本の読者へ)
グローバルなメディア・アクティヴィズムの地図作成
日本へのステレオタイプ
組み換え資本と不安定労働
不安定性と精神病的主体形成
ラディカルな離脱のひとつのかたち――ひきこもり
訳者あとがき
もうひとつのオペライズモ ――フランコ・ベラルディの場合(廣瀬 純 解説)
1963年から1972年まで
- ポテーレ・オペライオとその「二重のディスクール」
- 「ポテーレ・オペライオはネオレーニン主義組織である」(ネグリ)
- 「組織化は主観性の問題ではなく構成の問題である」(ビフォ)
- 「革命とコミュニズムは日常生活そのものである」(ネグリ)
フランコ・ベラルディ(ビフォ)へのインタヴュー(廣瀬 純 聞き手)
1973年から2008年まで
- 1973年から1979年まで
- 1980年から1989年まで
- 1990年から1999年まで
- 2000年から2008年まで
イタリア、1977年以後(北川眞也 解説)
- 77年 イタリア、「政治実験室」
- イタリア、1980年代
- イタリア、1990年代
- 1990年代、運動の季節へ
- 社会センター、運動の発信地
- ジェノヴァ、2001年7月
- 移民とプレカリアート
- デリーヴェアップローディ、アウトノミア運動関連の出版状況
イタリアの政治・運動関連年表 1973~1979年
索 引(人名索引/事項索引)
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著者紹介
フランコ・ベラルディ(ビフォ)Franco Berardi(Bifo)
1949年、イタリアのボローニャで生まれる。雑誌『ア/トラヴェルソ』の創刊、自由ラジオ「ラディオ・アリーチェ」を開局するなど、70年代のイタリア・アウトノミア運動の中心で活動する。77年の政治的弾圧によりフランスへ逃れ、その後ニューヨークにわたりサイバーパンクの潮流にかかわる。85年にイタリアに帰国後、インターネットをはじめとする新たなメディアを使ったネットワークの構築にとりくみ、メディア・アクティヴィストとして活動の領域を広げていく。邦訳書籍として『プレカリアートの詩――記号資本主義の精神病理学』(櫻田和也訳、河出書房新社、2009年)がある。より詳しい略歴は、本書のなかの廣瀬によるビフォへのインタヴューにおいて語られている。
訳/解説者紹介
廣瀬 純 Hirose Jun
1971年生、龍谷大学経営学部教員、映画批評誌『VERTIGO』(Nouvelles Editions Lignes)編集委員。
著書として『美味しい料理の哲学』(2005年、河出書房新社)、『闘争の最小回路――南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(2006年、人文書院)、『シネキャピタル』(2009年、洛北出版)、『闘争のアサンブレア』(2009年、コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著、月曜社)。訳書として、パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(2004年、月曜社)、トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』(2007年、共訳、月曜社)、同『未来派左翼』(2008年、NHK出版)など。
北川眞也 Kitagawa Shinya
1979年生、大阪市立大学都市研究プラザG-COE特別研究員(博士研究員)。
論文として、「場所とニューライト・ポリティックス――イタリア・北部同盟のパダニアをめぐる言説的実践」(2004年、『人文地理』第56巻第2号所収)、「現代地政学における例外空間としての収容所――イタリアの不法移民収容所へ歓待する生権力」(2007年、『人文地理』第59巻第2号所収)、「移動=運動=存在としての移民――ヨーロッパの入口としてのイタリア・ランペドゥーザ島の収容所」(2010年、『VOL』第4号所収、以文社)など。
装 幀
本文デザイン・組版・カバーデザインは、洛北出版編集による。
※ 本文用紙は2種類を使用しています。
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