装幀を担当しました。『伊波普猷の政治と哲学 日琉同祖論再読』崎濱紗奈[著]、法政大学出版局
崎濱紗奈[著]
法政大学出版局
この本は、法政大学出版局から刊行されています。
小社は、装幀のみを担当させていただきました。
2022年10月に刊行予定です。
- 仕 様┃ A5判 上製 326頁
- 刊行日┃ 2022年10月 予定
- 発 行┃ 法政大学出版局
- ISBN ┃ 978-4-588-15130-9
詳しい書誌情報は、法政大学出版局のホームページをご覧くださいませ。
目 次
序 章
はじめに
第一節 本書の目的
1‐1 脱構築的読解
1‐2 「政治哲学」と〈政治神学〉
1‐3 伊波のテクストの只中において生じる脱構築
第二節 関心の所在
第三節 本書の構成
第一章 沖縄近現代思想史における根幹問題としての「主体」
第一節 伊波普猷という問題──「同化」と「異化」をめぐって
1‐1 戦略的同化主義
1‐2 同化主義批判
第二節 「政治」と「倫理」
第三節 「政治」と「主体」
第四節 伊波普猷の「日琉同祖論」と「政治」
第二章 「政治哲学」としての「初期日琉同祖論」
第一節 「個性」の領域
第二節 旧慣温存から土地整理へ──沖縄における資本主義の浸透
第三節 「辺境」としての沖縄
第四節 「個性」を配置する「神」
第三章 蘇鉄地獄下における「沖縄人」の再人種化
第一節 蘇鉄地獄
第二節 「沖縄的労働市場」と「沖縄人」の再人種化
2‐1 「沖縄的労働市場」と「沖縄人」
2‐2 「擬似エリート層」と「日本人」への同化
第三節 「沖縄問題」の誕生──「さまよへる琉球人」と沖縄青年同盟
第四節 沖縄救済論──救済されるべき「対象」としての「沖縄」
第四章 郷土論的展開──純粋無垢な共同体「まきよ」の発見と「稲」
第一節 資本主義への対抗としての柳田民俗学
第二節 郷土研究──病への処方箋
第三節 伊波普猷の「政治」
第四節 悪い「稲」──原初の租税と奴隷
4‐1 「奴隷制度」の「魔術」的起源
4‐2 原初の租税としての「稲」
第五節 善い「稲」──純粋無垢な共同体「まきよ」
第五章 記紀神話への挑戦──アマミキヨの南漸
第一節 〈原日本〉=〈原沖縄〉としての「日琉同祖論」
第二節 北上説と南漸説──「稲」の来歴
第三節 「政治」のはじまり──「父」による「母」の征服
第四節 遠来神の足跡
第五節 折口信夫の神学
第六章 〈政治神学〉としての「日琉同祖論」
第一節 「祖先神」と「遠来神」の融合
第二節 伊波普猷の戦争責任──「決戦場・沖縄本島」をめぐって
第三節 「真の神」の到来──伊波普猷における政治的ロマン主義
第四節 国家という場所──「海部」と「天孫」の二項対立の止揚
終 章 予期せぬ「他者」の到来と、消去不可能な「政治」──〈政治神学〉としての「日琉同祖論」の脱構築
あとがき/ 参考文献一覧/ 索 引
著 者
崎濱 紗奈(サキハマ・サナ)
1988年、沖縄生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)博士課程単位取得退学。博士(学術)。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任助教。専門領域は沖縄・日本近現代思想史、ポストコロニアル研究。
主な論文として――
- 〈第三次反安保運動下的沖繩基地問題:從SEALDs談起〉(馮啓斌・崎濱紗奈共著、《文化研究》第21期2015年秋季、交通大學出版社)
- “‘Political Philosophy’ of Ifa Fuyū: the Limits of Identity Politics” (Identity and Movements, EAA Booklet No. 17, East Asian Academy for New Liberal Arts, the University of Tokyo)
- 「「東アジア」において理論を希求するということ──沖縄の「復帰」をめぐる考察を出発点として」(『日本學論集』第44号、グローバル琉球沖縄研究所・慶煕大学大学院日本学研究会)など。
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装幀に用いたのは、著者の方からご提供いただいた何枚かの写真です。これらを組み合わせて制作いたしました。メインの画像は、沖縄で撮影された雑草の、センダングサです。その種子は、くっつき虫、ひっつき虫とも言われます。
いつもゲラを拝読した上で装幀を考えます。このご本は、まさに渾身の著作だと思います。とてもおすすめです。書店で実物を手に取って、なかみをぜひご覧になってみてください。