Alphonso Lingis has died on May 8th, 2025.

アルフォンソ・リンギスさんが逝去されました。
著作として――
- Excesses: Eros and Culture (1983)
- Phenomenological Explanations (1986)
- Abuses (1994)
- The Community of Those Who Have Nothing in Common (1994)
- Dangerous Emotions (2000)
- Irrevocable: A Philosophy of Mortality (2018)
などの、15冊の単著があります。
ほかに、メルロ=ポンティやレヴィナスなどの著作の、英語への翻訳書もあります。
小社では――

『何も共有していない者たちの共同体』 2006年発行

―― を刊行しています。
以下、『汝の敵を愛せ』のページに掲載した紹介文を転載いたします。
アルフォンソ・リンギス Alphonso Lingis(1933-2025)
リトアニア系移民の農民の子どもとしてアメリカで生まれる。ベルギーのルーヴァン大学で哲学の博士号を取得。ピッツバークのドゥケーン大学で教鞭をとった後、現在はペンシルヴァニア州立大学の哲学教授。
世界のさまざまな土地で暮らしながら、鮮烈な情景描写と哲学的思索とが絡みあった著作を発表しつづけている。
メルロ=ポンティ『見えるものと見えないもの』、レヴィナス『全体性と無限』、『存在するとは別の仕方で、存在の彼方へ』、クロソフスキー『わが隣人サド』の英訳者でもある。
邦訳書籍に、『汝の敵を愛せ』、『何も共有していない者たちの共同体』(以上、小社より刊行)、『異邦の身体』(河出書房新社)、『信頼』(青土社)がある。
アルフォンソ・リンギスの経歴については、『汝の敵を愛せ:Dangerous Emotions』の翻訳者[中村裕子氏]からの質問に対して、リンギス自身が次のような回答を寄せてくれたので、それをそのまま紹介する。
「私の両親は、ヨーロッパのリトアニアからの移民だった。彼らは農民であったので、私は、シカゴ郊外の農場で生まれ育った。私は、ベルギーのルーヴァン大学で、哲学の博士号を取得した。ピッツバークのドゥケーン大学で6年のあいだ教鞭をとった後、ペンシルヴァニア州立大学で教え始めた。
毎年、最後の授業が終わるとすぐに、私は他国に赴く。アメリカの制度では、大学教授は7年ごとに1年間の長期休暇が与えられるのだが、私はその休暇のたびに他国で過ごした。「旅をした」というのは、正確ではない。ある一つの国を選んで、3、4ヶ月のあいだ、または長期休暇のあいだずっと、そこに暮らしたのである。最初は、フランス、イタリア、ドイツ、ハンガリー、ノルウェイ、フィンランドといったヨーロッパ諸国で夏を過ごした。その後、私は、アフリカ、アジア、オーストラリア、南アメリカ、そして南極大陸にずっと大きな興味を抱くようになった。
本拠地として、メリーランド州ボルティモア郊外の丘陵地にある2エーカーほどの土地に、小さな家を持っている。」
